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エピソード5

更新日:2023年3月24日



こんにちは。


エンバーミングって、どうしてするの?必要なの?と、質問をされるときがあります。

大切な人を亡くしたとき、エンバーミングがよりよいお別れの場を作る一助を担っていると私は思っていますが、私たちはその実感というのは感じにくく確かめにくいものです。


しかし、エンバーミングを施すことで、心に残るご家族の時間をつくれるんだと感じた

経験をしました。



エンバーミングが終わり故人様をご自宅へとお送りしたとき、

故人の奥様と娘さんが待っていてくださいました。

奥様が故人であるご主人に触れ、「笑ってる。本当にいつもの感じ。絶対に起きるから火葬しない!」とおっしゃいました。

「絶対に起きる。ねー起きて。やだもー、火葬しない」


少し寒くなり始めた頃だったので、

「エンバーミングをされたので、お部屋を特別に涼しくしておかなくても大丈夫ですよ。暖房をいれてもらってもいいし、皆さまが過ごされる室温と同じで大丈夫ですからね」と声をかけました。

「たくさん触れてもらっても大丈夫ですし、隣に布団を敷いて一緒に寝る方もいらっしゃいますよ」とお伝えしました。



数日後のお通夜の日。

メイク直しへとお伺いしたとき、故人の奥様に「たくさん触れていただきましたか?」と

聞くと「いっぱい触れたよ!」と。


その時の奥様は少し落ち着きがなく、ゆっくりとお話をすることは出来ませんでしたが、

後日、奥様よりお手紙をいただきました。

エンバーミング、初めて聞く言葉だったこと、ときどきご主人に触れながら

川の字で寝たこと、足のマッサージをしてあげたこと。

身体はなくなってしまったけど、あの感触は忘れないよということが綴られていました。


このお手紙をいただき、ご家族の心に残るエンバーミングができたことに安心し、

嬉しくなりました。

そして、心引き締まる思いにもなりました。


ご主人を見つめる奥様の様子、私と奥様とのやりとりを思い浮かべながら、

お手紙を繰り返し読みました。

ご主人の顔をみるたびに「ほんとにもー」「もー」と、しきりにおっしゃっていた奥様が私にはとても印象的でした。


奥様とお話していたときは、その言葉の意味は分かりませんでしたが、

もしかしたら、「もー」の後に続く言葉は「起きて!」だったのかもしれないなと、

私の想像ではありますが、そう思ったのでありました。




それではまた、お会いしましょう。




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